お店やネットショップにとって、何度も利用してくれるリピーターはとても重要です。
ところが、多くの運営者は新規顧客増加に一生懸命になるわりに、その後のリピーター化にはあまり力を注いでいません。
また、一度リピーターとなった顧客に対して「その後の対策をしない」というショップも珍しくありません。

例え既存のリピーターであったとしても対策をしなければ離れていってしまいますし、新規のリピーターが自然に増えることもありません。
新規顧客の多くにはリピーターになってもらい、「一度、リピートしてもらったら、アフターケアにも力を入れる」ことが重要ということを再認識する必要があります。

一方、具体的な対策を考えた時、何をすればいいのかよくわからないという方も多いことでしょう。しかし、ポイントさえ押さえてしまえば、リピーター対策は今よりもさらに効果的になります。

ここでは「リピーターを育て、店舗運営を安定化させるための方法」をみていきましょう。

リピーターが増えない理由はなにか

ネットショップでも実店舗でも、新規顧客があまりリピーターになってくれないというケースをよく耳にします。せっかく数あるショップの中から選んで商品を購入してくれたのに、なぜその後リピーターにならないのでしょうか?
ここではまず、リピーターが増えない理由に注目してみましょう。

「なんとなく」=特に理由がない

結論から言うと、新規顧客がリピーターにならない多くの理由は「なんとなく」です。
つまり、「特に理由がない」のです。

拍子抜けする話ですが、よく考えてみるとあなたにも身に覚えがあるのではないでしょうか?

例えば、あなたが何かほしい商品があり、それを必死に探して、そしてやっと見つけた時、あなたの脳には「いつ、どこで、いくらで売っているか」といった「実際に購入するために必要な情報」がインプットされますが、実際にこの商品を購入してしまうと「いつ、どこで、いくらで売っているか」という情報は不要になり、時間と共に記憶も薄れてしまいます。

どれだけ素晴らしい商品だったとしても、手に入れてしまえば「いつ、どこで、いくらで売られていたか」はあまり重要ではなくなります。
人間は誰しも、興味のあることに関しては覚えていますが、興味が薄れると忘れてしまうのです。

このことを考慮せずに店舗運営を続けていると、リピーターはいつまでたっても増えていきません。

別のショップを利用している

類似商品が同じような品質や価格で販売している競合店が多数ある場合、当然お客様が別のお店で購入してしまうケースも多くなります。

そもそもお客さまは「なんとなく」その店で購入しているわけですから、「どの店でも大きな差がない商品」を買った場合、逐一、特定のショップを記憶したりしません。

商品やサービスに不満がある

品揃えやサービス・品質などが、お客さまが期待しているレベルに達していなかった場合は、当然ですが、ふたたび購入に訪れることはありません。
リピーターが増えない「なんとなく」という理由とは逆に、商品やサービスに対する悪い印象は残りやすく、「間違えてまた同じ商品を購入しないため」の情報としてインプットされてしまいます。

リピーター増加のための3つのポイント

リピーターが増えない最大の理由は「なんとなく」でした。
お客さまにとって覚えておく必要がなくなった(=忘れられてしまう)という状況を打開するために、店舗運営者が知ってくべき3つのポイントをみていきましょう。

きっかけ作りの重要性

人間の記憶は多くの場合「関連付け」で行われます。
みなさんもなにかの「きっかけ」で忘れていた記憶を思い出したことがないでしょうか?

ポイントカードやクーポン券、割引セールのお知らせメールなどは、お客さまがあなたのお店を思い出してくれる「きっかけ」になることがあります。
ちょうど使っていた化粧品を使い切ったとき、以前、購入したお店から新製品のお知らせが届いたなら、ついつい興味を持ってしまうのが顧客心理というものです。

「もう一度来たくなる店」になるために

お店やショップに嫌なイメージがあると、二度と利用したくないという心理がはたらきます。
その一方、良いイメージを持ったお客さまは「もう一度利用したい」と思うようになります。

ただ、残念ながら、その「良いイメージ」は徐々に薄れてしまうため、実際にリピート利用してもらうためには積極的なアプローチが不可欠ですが、まずは前提条件としてお店や商品に良いイメージを持ってもらえるようにしましょう。

リピーターのタイプを知ろう

新規顧客がリピーターになる場合、大きく分けて2つのパターンがあります。
それぞれのタイプ別に、リピーターを詳しく見てみましょう。

商品リピーター

気に入った商品を継続して購入するタイプのリピーターです。
消耗品や生活必需品では、他店と比較して低価格であることや高品質であることなどを理由に、使い切るたびに同じ店舗で購入することがよくあります。

ただし、他店がさらに低価格の商品を販売していたり、同価格帯でもさらに高品質な商品を扱うショップが登場すると、そちらへ顧客が流れることがあります。

店舗リピーター

同じお店でさまざまな商品を購入するタイプのリピーターです。
店舗のサービスや品揃えに満足していて、扱っている商品の「満足度」を信頼してくれています。
いろいろな店舗を見て回るのが面倒という顧客心理もはたらき、「このお店で購入すれば失敗しない」という意識があるリピーターは上顧客と呼ばれます。

リピーター増加のための具体的な方法

新規顧客にリピーター化してもらうために、ここで具体的な施策をご紹介しましょう。

「思い出してもらう」ためにできること

忘れられてしまうということは、思い出してもらう工夫をしなければならないわけです。
もっとも効果的な方法は、購入商品を使い切るタイミングで「お買い得情報」などのお知らせをすることです。
メルマガやDMなど、タイミングを見極めることで効果が最大化するツールを利用しましょう。

記憶に残るショップ作りとは

みなさんは、一度、利用しただけのお店を覚えているでしょうか。
多くの人は、なんとなく覚えているか、または全く覚えていないと答えるかもしれません。
ポイントとしては、
・覚えやすい店名
・インパクトの強い商品ページや品揃え
・定期的なメルマガなどの情報発信
といわれています。記憶に残る=思い出しやすい店づくりを心がけましょう。

「店、人、商品」が信頼されるために

どれほど奇抜で印象に残る店舗であっても、サービスや接客対応、商品の品質などが一定レベル以上でなければ、顧客に信頼されることはありません。
他のお店との差別化において、もっとも重要なのは「お店に対する信頼感」なのです。
結局のところ、まじめに一生懸命な店舗運営をすることが、リピーターを増やす早道なのです。

まとめ

当たり前のことを当たり前にやることが、商売では大切と言われています。
リピーターが重要なことも、信頼されるお店にならなければならないことも、みなさんはよくご存知でしょう。
それでもなお意識しなければならないことは、リピーターを増やす努力は決して惜しんではならないこと、リピーターは勝手に増えたりしないということ、そしてあなたのお店は他と比べて決して「特別」ではないということです。

リピーターを増やしたいのなら、誰よりも積極的に顧客へのアプローチを行いましましょう。